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動脈硬化とは？
動脈硬化は、血管の内側にコレステロールなどが蓄積し、血管が厚く硬くなる状態です。血管の弾力性が失われることで血液の流れが悪くなり、血管の周辺組織への正常な血液供給ができなくなります。
全身の様々な部位で起こる上、大動脈などの重要な血管に動脈硬化が起こると、心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患などの重篤な病気につながることもあります。自覚症状がないまま進行するので、早期発見と進行予防が極めて重要です。
動脈硬化の症状
初期は無症状
動脈硬化が起きても、初期にはほとんど症状がありません。健診で高血圧、脂質異常症、糖尿病を指摘されて初めて気づくことが多いです。
進行時の症状
動脈硬化が進行すると、障害を受けた臓器により様々な症状が現れます。
- 心臓：狭心症や心筋梗塞による胸痛、圧迫感、息切れ
- 脳：脳梗塞や一過性脳虚血発作による片麻痺、言語障害、めまい
- 腎臓：腎動脈狭窄による高血圧の悪化、腎機能低下
- 眼：網膜動脈の閉塞による視力低下、視覚障害
- 腸：腸管虚血による食後の腹痛、下痢、体重減少
- 頸動脈：狭窄によるめまい、失神発作
- 下肢：歩行時の足の痛み（間欠性跛行）、安静時の痛み など
動脈硬化の原因とリスク要因
生活習慣病
脂質異常症や高血圧、糖尿病などの生活習慣病が主要な危険因子です。これらが重なるほど、動脈硬化の進行が加速します。
その他の要因
加齢、男性、閉経後の女性、肥満（特に内臓脂肪型）、運動不足、ストレス、家族歴も動脈硬化のリスクを高めます。慢性腎臓病や睡眠時無呼吸症候群も関連することが分かっています。
動脈硬化の検査
当院では、以下の検査により動脈硬化の進行度評価と早期発見を行っています。
血圧脈波検査（ABI/PWV）
手足の血圧を同時に測定することで、動脈硬化の程度を数値化します。血管年齢や動脈の硬さなどの判定が可能で、動脈硬化による健康リスクの評価が行えます。
頸動脈エコー検査
首の動脈の厚さや狭窄の有無を超音波で評価します。全身の動脈硬化の指標となり、脳梗塞のリスク評価にも有用です。当院では専門技師による精密な検査が可能です。
血液検査
各種脂質や血糖値、HbA1c（ヘモグロビンエーワンシー）などを測定し、動脈硬化のリスクを総合的に評価します。
動脈硬化の治療
動脈硬化の進行を抑制し、心筋梗塞や脳梗塞を予防するための包括的な治療を行います。
生活習慣の改善
動脈硬化の進行を抑制するため、以下の生活習慣の改善が基本となります。
- 食事療法：コレステロールや飽和脂肪酸を制限し、野菜や魚を中心とした食事
- 減塩：1日6g未満を目標に塩分摂取を制限
- 運動療法：週3回以上、1回30分程度の有酸素運動（ウォーキング、水泳など）
- 禁煙：受動喫煙も含めて完全禁煙を実施
- 減量：BMI25未満を目標に適正体重を維持
- 節酒：1日当たり、ビールなら500ml、日本酒なら1合程度までに制限
- ストレス管理：十分な睡眠と適度な休養を確保 など
薬物療法
コレステロールを下げる薬、血圧を下げる薬、血糖値を下げる薬を使用します。血液をサラサラにして血栓形成を予防する薬を併用することもあります。
定期的なモニタリング
動脈硬化の進行度を定期的に評価し、治療効果を確認します。当院では、血管年齢の変化を追跡し、患者様に分かりやすく説明しています。
予防と早期発見の重要性
動脈硬化は生活習慣病と密接に関連しており、若い頃からの予防が大切です。バランスの良い食事、適度な運動、禁煙、ストレス管理を心がけてください。
40歳を過ぎたら定期的に血管年齢検査を受け、動脈硬化の早期発見に努めることをお勧めします。当院では、動脈硬化の進行度を見える化し、患者様のモチベーション向上につなげています。生活習慣の改善と適切な治療により、心筋梗塞や脳梗塞を予防できます。
