
先日『STOP透析 世田谷心腎連関』という講演会にて、Opening lectureをタイトル名の演題で担当させて頂きました。
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)は、腎臓の障害が慢性的に続く病気です。初期には自覚症状がほとんどなく進行すると腎機能が低下し、最終的に透析や腎移植が必要になる末期腎不全に至る可能性があります。また、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクも高まります。日本人はアメリカ人などの欧米人に比較するとネフロンが少なく、日本人の成人5人に1人が慢性腎臓病であると言われており注目されています。
現在日本では併存疾患を多くもつ高齢な方の心不全が増加傾向であり、心不全が癌に次ぐ死因第二位となっております。2025年に改訂された日本循環器学会の心不全ガイドラインでは心不全のリスクファクターとして慢性腎臓病が新たに明記され、早期から慢性腎臓病に対するアプローチが心不全の発症予防にも重要なことが提唱されております。また慢性腎臓病に罹患した患者様が心不全に罹患すると予後不良という報告もあり、いかに腎機能を低下させずに元気に年齢を重ねていくということが重要なことだと思います。CKD診療ガイドライン2024年でも腎保護効果のある薬剤の使用方法などがわかり易く記載されており、多くの患者様が恩恵を受けられる薬剤が広がっています。一方で糖尿病がない蛋白尿陰性の慢性腎臓病患者様への治療薬は限定的であり、その患者様への早期治療の重要性や治療方法に関して、当日の講演会で腎臓内科専門医であられる座長の加藤先生、東邦大学医療センター大橋病院准教授の戸井田先生とディスカッションさせて頂きました。薬物治療だけではなく、基礎となる体重管理、健康的な食事/運動、禁煙などが非常に重要になるということや、Special lectureでは戸井田先生のご講演を拝聴することにより理解が深まった充実した1日でした。
寒くなりお鍋や塩分が多い食事、アルコールも増える時期だと思います。高塩分食や多量のアルコールは腎臓や心臓に負担をかけますので、節制を心掛けていただけますと幸いです。私自身もお酒が好きなので気をつけます。
まきのクリニック副院長 牧野健治