高血圧

高血圧とは?

高血圧とは?

高血圧は、血管にかかる圧力が慢性的に高い状態です。代表的な生活習慣病の一つで、日本人の約3人に1人が該当するとされています。自覚症状はほとんどありませんが、放置すると着実に進行して心筋梗塞、脳梗塞、腎不全などの重篤な合併症を引き起こします。早期発見と適切な血圧管理により、合併症を予防することが治療の目標となります。

2025年8月に高血圧ガイドラインが改定され、以下に要約を記載します。

  • 高血圧は、将来の脳卒中・心臓病・腎臓病・認知症の発症リスクを高める病気です。
  • 日本では、1年間に17万人が,高血圧が原因となる病気で死亡しています。
  • 日本の血圧コントロール状況は、主要経済国の中で最下位レベルです。
  • 血圧(収縮期血圧)を10mmHg下げると脳卒中・心臓病が約2割減少します。
  • 高血圧の人では,年齢に関わらず、上の血圧を130 mmHg未満、下の血圧を80mmHg未満まで下げると、それ以上の血圧に比べて、脳卒中や心臓病が少なくなります。
  • 生活習慣の改善(減塩、運動、肥満の是正、節酒など)で血圧は下がります。
  • 日本人の食塩摂取量は10g/日と世界の中でも高く、高血圧の人は 6g/日未満にすることがすすめられています。
  • 目標の血圧レベルに達するために多くの高血圧患者では血圧を下げる薬が2種類以上必要です。
  • 血圧を下げる薬は、安価・安全で効果があり、副作用よりも血圧を下げる利益の方が大きいことがほとんどです。
  • 日本は家庭血圧計が普及しており、家庭での血圧測定は高血圧の診断と治療に役立ちます。

高血圧の診断基準

血圧は収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)で示されます。いずれか一方でも基準値を超えれば高血圧となります。

分類 収縮期血圧=上の血圧(mmHg) 拡張期血圧=下の血圧(mmHg)
至適血圧 120未満 80未満
正常血圧 130未満 85未満
正常高値血圧 130~139 85~89
Ⅰ度高血圧 140~159 90~99
Ⅱ度高血圧 160~179 100~109
Ⅲ度高血圧 180以上 110以上

※診察室で測定した場合の数値(診察室血圧)。家庭血圧の場合はやや低くなり、135/85mmHg以上で高血圧と診断

高血圧の症状と合併症

自覚症状

高血圧は通常無症状ですが、血圧が極めて高い場合は頭痛、めまい、肩こり、動悸、息切れなどが現れることがあります。これらの症状が出た時には、すでに臓器障害が進行している可能性がありますので、速やかな治療が必要です。

合併症

長期間の高血圧は血管に大きな負担をかけます。血管を介して様々な臓器へ影響を及ぼし、心臓では狭心症、心筋梗塞、心不全、心房細動などの、脳では脳梗塞、脳出血、認知症などのリスクが高まります。腎臓では慢性腎臓病から腎不全に至り、血管では動脈硬化、大動脈瘤、大動脈解離を引き起こします。また、網膜症による視力障害も起こりえます(高血圧性網膜症)。

高血圧の原因

本態性高血圧

明確な原因が特定できない高血圧で、日本人の高血圧のほとんどがこれです。遺伝的素因に加え、塩分過多、肥満、運動不足、ストレス、喫煙、過度の飲酒などの生活習慣が複合的に関与します。加齢とともに進む動脈硬化も要因です。

二次性高血圧

腎臓病、内分泌疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群)、睡眠時無呼吸症候群、薬剤(ステロイド、NSAIDs)などの病気が原因となる高血圧です。原因疾患の治療により血圧が改善する可能性があります。

高血圧の検査と治療

当院では、循環器内科専門医による高血圧の総合的な診断と治療を行っています。

検査

血液検査、尿検査、心電図、心臓エコー検査、24時間血圧測定、血管年齢検査、睡眠時無呼吸検査、腎動脈狭窄の検査などを実施し、臓器障害の評価と二次性高血圧の鑑別を行います。

治療

生活習慣の改善

減塩(1日6g未満)、減量(BMI25未満)、運動療法(有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせ)、節酒、禁煙、ストレス管理が基本となります。初期の高血圧であれば、生活習慣の改善だけで十分にコントロールできることも多いです。

薬物療法

生活習慣の見直しだけでは不十分な場合に検討します。血管を広げる薬、心臓の負担を軽減する薬、余分な塩分を排出する薬など、患者様の状態に応じて選択します。複数の薬を少量ずつ組み合わせることで、副作用を抑えながら効果的な降圧を図ります。

日常生活での注意点

生活上の注意

  • 急激な温度変化を避け、脱衣所や浴室を暖める(ヒートショック対策)
  • 熱すぎる風呂は避け、40℃程度のぬるめの湯温に設定する
  • 便秘を避け、排便時のいきみを防ぐ
  • 十分な睡眠時間を確保する
  • 過度の疲労やストレスを避ける など

食事・運動の工夫

  • 外食時は麺類の汁を残す、醤油やソースは控えめにする
  • 野菜や果物を積極的に摂取(カリウムが血圧を下げる)
  • 週3回以上、1回30分程度を目安に有酸素運動を行う
  • 急激な運動は避け、徐々に運動強度を上げる など

血圧管理のポイント

  • 家庭血圧測定を朝と夜の2回、安静5分後に実施
  • 血圧手帳に記録し、受診時に持参
  • 薬の飲み忘れを防ぐため、服薬カレンダーを活用
  • 定期的な通院で季節変動に応じた薬の調整 など

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